浴衣入浴のすすめ

今年も浴衣の季節がやって来ました。

ところで、みなさんが浴衣を着るのはどんなときですか。お祭りや花火大会などのイベントのときにしか着ない、という人が多いのではないでしょうか。でも、それだけでは、せっかく買った浴衣がもったいないと言うものです。そこで提案したいのが、浴衣入浴です。

浴衣入浴というのは、読んで字のごとく、浴衣を着たままお風呂に入ることです。これは、だまされたと思って、ぜひ試してみてほしい入浴法です。何がいいのかと言うと、極上の皮膚感覚です。浴衣じゃない普通の衣類を着て入浴してもそれなりに気持ちがいいのですが、浴衣の感触は格別です。

浴衣入浴というのは気持ちがいいわけですが、これには理由があります。そもそも、「浴衣」という言葉の語源となった「湯帷子」(ゆかたびら)というのは、お風呂に入浴するときに着る着物のことなのです。昔々の日本では、やんごとなき人たちは湯帷子というものを着てお風呂に入っていました。おそらく、その時代には、どんな生地がいちばん気持ちがいいかという試行錯誤があったに違いありません。そののち時代が下って、湯帷子は、入浴とは関係のない場面で用いられる浴衣に変化しました。しかし、身にまとって入浴したときの気持ちのよさは、湯帷子から浴衣へとしっかり継承されているのです。